ノクターン

写真の私達は 幸せいっぱいの 柔らかい笑顔で。



智くんから滲む、温かい優しさも。

私の 甘い可愛らしさも。

多分 二人が出会う前は 無かったものだろう。



みんなが 私達を変わったと言う意味が わかる気がした。
 


「智くん、今日は本当にありがとう。最高の一日だったね。」

帰りの車の中で言う。
 

「こちらこそ、ありがとう。麻有ちゃんが 俺の為に その洋服を選んでくれた事、本当に嬉しいよ。」

智くんの手が、私の手を握る。
 



「真っ白な心で、入籍したかったの。」
 
「麻有ちゃんは、いつだって真っ白だよ。全部、俺が染めるんだよ。」
 


「もう、染められちゃったし。」

私は、俯いて言う。



体が熱くなる。
 


「あー。そんな事言うと、我慢できなくなっちゃうよ。」

智くんはそっと私を見て

「麻有ちゃんも?」と聞いた。


私は、小さく頷く。
 

「私達、シンクロしているから。」
 
「可愛い。」


私達は、熱い思いで 第三京浜を飛ばした。
 

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