ノクターン
33

翌日、会社に着くと 始業前に私は、入籍した事を課長に伝えた。


「おめでとう。もう高村くんじゃないんだね。」

課長は 笑顔で言った。
 

「ありがとうございます。廣澤になりました。戸籍ができるのが、年明けになるので 手続きは、その後でお願いします。」

私も、素直にお礼を言う。
 


「結婚式はしないの?」
 
「春には、と思っています。決まったら、正式に 参列のお願いをしますので。」


何と言っても、課長は 私達を引き合わせてくれた人だから。
 


朝礼で、課長から発表され 私は拍手の中 一言挨拶をする。

課のみんなの拍手を、素直に喜べる私になっていた。
 


「最近、高村さん 色っぽくなってきたと思ったら そういう事だったのか。」

営業社員にからかわれる。
 

「高村さんじゃなくて、廣澤さんだから。」

そんな会話が、嬉しかった。
 


「麻有子、おめでとう。本当に、よかったね。」

美咲も、喜んでくれる。
 

「美咲には 色々聞いてもらって。すごく救われたよ。ありがとう。これからも、よろしくね。」
 

「はい、はい。いつでもノロけてよ。」

と言われて、ニコっと笑う私に
 
「何、今の麻有子。マジで可愛いい。」

と美咲は笑った。
 


会社は年末休暇前で、みんなが お休みモードになっていた。


ゆったりした雰囲気の中、休暇までの時間を過ごす。
 


智くんの会社も同じで。

定時で上がる智くんと 待ち合せて一緒に帰る。


そして私達は マンションでの

穏やかで幸せな時間を過ごした。
 

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