ノクターン

その後、お兄様一家が来て 賑やかなお正月になる。

お母様は 豪華なお節料理を用意していて みんなで頂く。
 


食事の準備をしたり、お茶を用意したり。


お母様、お姉様と一緒に 私もキッチンに立つ。

家族になっていく気がして とても嬉しかった。



智くんも そんな私を 嬉しそうに見守ってくれる。



智くんの家族は みんなが明るくて 穏やかで。

一緒に過ごす時間に 嫌な気持ちになるような事は 一度もない。



みんなが 一緒にいる人を気遣い 思いやる。
 


そして、小さなことにも みんながありがとうと言う。
 

「麻有ちゃん、お醤油取ってくれる。」とお兄様に言われて

「はい。」と手渡すと
 
「ありがとう。」と受け取る。
 

「お母さん、お茶頂戴。」とお父様が言い

お母様が、お茶を継ぎ足すと
 
「ありがとう。」とお父様が言う。
 


日常の中で、こんなにも自然に ありがとうを使えるなんて。

いつも、何に対しても 感謝の気持ちを失わない。

簡単なようで なかなかできない事。
 


智くんも いつも私に ありがとうと言ってくれる。

当たり前のことなのにと 思っていても

ありがとうと言われると とても嬉しい。


もっと頑張ろう、と思える。


智くんの優しさや思いやりは この素敵な家族によって育てられたもの。



私は、この家族に迎えられたことを 心から幸せに思う。


そして、ずっと大切に もっと心豊かに 歩いていこうと思っていた。
 
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