ノクターン
36

元旦、松濤の実家に 御挨拶に行く。
 

「あら、よく焼けて。麻有ちゃん、若くなったわ。高校生みたい。」


玄関先で 新年の挨拶の後 お母様が言う。
 

「言い過ぎ、言い過ぎ。」と智くんは笑う。
 
「本当よ。智之も大学生に見えるから。安心して。」

お母様もつられて笑う。
 


「何だか、楽しそうだね。」

リビングに居たお父様が 私達を迎えて言う。


私達が お父様に御挨拶をしていると
 

「二人が日焼けして すごく若返ったって言ったのよ。」


お茶の用意をしていたお母様が言ってくれる。
 


「お母様に 高校生みたいって 褒めていただきました。」

私が笑いながら言うと
 

「今時の高校生は ませているからね。」

お父様も楽しそうに笑う。
 


「お父様に頂いたお小遣いで このバッグ買いました。ありがとうございます。」

私は バッグを掲げて見せる。
 

「あら、素敵じゃない。」

お母様は言い、お父様は満足気に頷いてくれた。


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