ノクターン
しばらく私の両親と話し、
日が暮れる前に 私達は別荘に行く。
今年は暖冬で 軽井沢も雪が少ない。
何とか、掘り出せるだろう。
「確か、この辺だと思うんだ。」
智くんは 物置から出したスコップで 土を掘っていく。
智くんが掘った穴を 私はシャベルで探ってみる。
3か所目に スコップを刺した所に 手ごたえがあった。
「何かある。多分、ここだ。」
智くんは、少しずつ土と退かす。
私も、シャベルで手伝っていく。
「あった。」
子供が埋めた物だから、浅く埋まっていた。
錆びたクッキーの缶が見えた。
智くんは、丁寧に土を退けて そっと缶を取り出す。
「わあ…」私達は、見つめ合う。
「寒いから、車の中で開けようね。」
掘った土を埋め返して スコップを戻し 私達は、車に戻る。