ノクターン

「ドキドキする。」

と言う私を、じっと見つめて頷いてから 智くんは缶の蓋を取った。
 

最初に見えたのは、塩ビの恐竜。
 
「あー。イグアノドンだ。無いと思ったらここにいたのか。」


智くんは、笑いながら取り出す。


そして、子供の頃流行っていた キャラクターのシール。


これは、私が入れた物。


木の枝とゴムで作ったパチンコ。

どんぐりのネックレス。


これは、二人で作ったもの。



そして、缶の一番下に 子供雑誌の付録の封筒が二つ。
 

『20年後のゆめ』と書いてある。


裏にはそれぞれの名前。

子供の字で。



私は、もう涙を流していた。

懐かし過ぎて。



切なくて。
 

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