ノクターン

「ねえ、早く見ようよ。」

お兄様は、興味深々で。
 
「仕方ないなあ。高いよ。」

智くんは、紙袋から缶を出す。
 



「見てもいいの?」お母様が 私に聞いてくれる。

智くんと私は 目を合わせて頷く。
 

「何、これ。智之 恐竜好きだったからなあ。」

缶を開けて お兄様は笑いながら 中身を出していく。


例の封筒を出して 一瞬 手が止まる。
 

智くんは お兄様の手から 封筒を受け取ると お母様に渡した。


お母様は 私に目で確認してから 封筒を開く。


まず 智くんの封筒から。

みんなが、黙って見守る。
 


「これ…」

二つの封筒を見終えるとお母様は お父様に渡し そっとキッチンに立ち去った。
 


「麻有ちゃんは きれいな字を書くね。」

お父様がぽつんと言って お兄様に渡す。
 


「やばいね。会えて 良かったな。」
 

「すごいわ。感動しちゃう。」



お兄様とお姉様が 読み終えた後

お母様が お茶のお代わりを持ってくる。
 
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