ノクターン

マンションに着いて 部屋に入ると みんなはやっぱり驚く。
 

「麻有ちゃん。すごいマンションね。」
 
「超セレブ。これは 億ションだね。」
 
「麻有子、幸せだな。」


家族の言葉に 智くんと私は 微笑み合う。
 

「麻有ちゃんが 頑張ってお昼ご飯の用意をしたので 冷めないうちにどうぞ。」

智くんは みんなに言ってくれる。
 

「これ。全部 麻有ちゃんが作ったの?」母は驚いて言う。
 
「まあね。優秀な部下がいるから。」私は笑って言う。


不思議そうな顔の両親に
 
「僕の事です。」と智くんも笑う。
 


「智くんに 手伝ってもらったの?」驚く父に、
 
「智くん いつも手伝ってくれるのよ。」と私が言う。
 


「お姉ちゃん いいなあ。素敵なマンションに 優しい旦那様。」妹は膨れて言う。
 


「麻有ちゃんが お料理できるなんて 知らなかったわ。」

母は しんみりと言う。
 

「軽井沢にいた時は 何もしなかったものね。ごめんね。」

私は 反省を込めて言う。
 

「美味しいよ。お姉ちゃん。」妹も言ってくれる。
 

「ありがとう。こんなに素敵な生活させてもらって お料理くらい頑張らないと 罰が当たるからね。」私は言う。
 

「何か、お姉ちゃん 変わったよね。」妹に言われる。
 

「やっとね、反抗期が終わったの。」私は素直に言う。
 

「随分 長い反抗期だったわ。」母は、しんみりと言う。



私は 心の中で 


『ママ、ごめんなさい。』と言いながら 微笑んだ。
 
 
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