ノクターン

夕食も、賑やかで楽しい雰囲気のままで。


お母様は 家から近い 創作和食のお店を予約していた。

みんなで ゾロゾロと歩いて行くことも なんだか嬉しくて。


案内された奥の個室は 座敷になっていて 樹くんも自由に動き回れる。
 


美味しい料理。楽しい会話。

みんなが 相手を思いやる温かい雰囲気。

父も母も妹も この家族といると 豊かで優しくなれることを 理解していく。
 


「ドレス、どんな風になっているかしら。楽しみね。」

お姉様が言ってくれる。
 
「はい。すごく楽しみです。でも、似合うかしら。少し心配なんです。」

私は正直に言う。
 

「大丈夫よ。この前のドレス、とても良く似合っていたもの。きっと、もっとゴージャスで 花嫁らしくなっているわ。」

お姉様は優しい。
 


「パパ。バージンロード歩くの、大丈夫かな。」妹が言う。
 
「失礼だな。大丈夫って、なんだよ。」父がムッとして言い返す。
 
「緊張して 手と足を 同時に出しちゃうお父さんもいるらしいよ。」

と妹の言葉に笑った後 みんなが少し しんみりしてしまう。
 


「バージンロード歩く時って 特別なんですよね。私 父の事、嫌っていたけれど。あの時は、やっぱりジーンときました。色々、思い出しちゃって。」

お姉様の言葉に みんなが頷く。すると、
 


「俺は バージンロードは歩けないのか。」

とお父様が 寂しそうに言う。
 
「よかったら、美奈子の時お願いします。まあ 嫁に行ければですが。」と父が言う。
 


「パパ、ひどいなあ。私も お父様のほうがダンディでいいよ。」



美奈子の言葉に 笑いが戻る。
 

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