ノクターン

妹は 照れたように肩をすくめた。
 

「美奈ちゃんの振袖、何色?」

お姉様が聞いてくれる。
 
「赤なんです。だから、今のうちに着ておかないと。恥ずかしいから。」妹が答える。
 

「まだまだ、大丈夫よ。美奈ちゃん、色白だから 赤が似合いそう。」

お母様が 笑いながら言ってくれる。
 
「振袖が似合う間に お嫁に行きなさい。」と父が言う。
 


「お姉ちゃん達、見ちゃうとねえ。お兄さんよりも素敵な人じゃないと。妥協できないよね。」



妹は真剣に言い、みんなが笑う。
 


「大丈夫。美奈ちゃんに一番合う人に 必ず出会えるよ。」


と智くんが言ってくれる。




私は智くんと 笑顔で見つめ合う。




智くんの目は “ 俺達のようにね ” と言っていた。


< 245 / 270 >

この作品をシェア

pagetop