ノクターン

「大丈夫だった?」

智くんは左手で 私の手を握ってくれた。
 
「うん、大丈夫。智くんが待っていてくれたから。」

私は 晴れやかな笑顔で智くんを見ることができた。
 

「麻有ちゃん、ありがとう。」
 
「私も。ありがとう。智くん。」

智くんの瞳は優しくて温かい。


私は少し涙ぐんでうつむいた。
 


車は京浜島の公園に停まる。

降りると飛行機の轟音が耳に飛び込んでくる。
 

「わあ、飛行機 近いね。」

日が暮れかけた公園の中を、手を繋いで歩く。

目の前に海が広がる。

私のアパートからこんな近くに海があったなんて。



昨夜のように 二人でフェンスにもたれていると、飛行機が飛び立っていく。

その音と光に 私達は 悲鳴を上げながら笑ってしまう。
 

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