ノクターン

「智くんのお父様に マンションを用意して頂いたの。準備ができたら引越しするからね。」

私が言うと、
 
「新婚早々マンションって。セレブ過ぎです。しかも、その指輪。あまり姉に贅沢を させないで下さい。」

妹が智くんに言う。
 


「そんな事ないよ。麻有ちゃんは わがまま言わないし、控えめだから。」

智くんは、優しく答えて
 


「わあ、甘いなあ。」と妹に冷やかされる。
 

「結婚式はどうするの?」と母は聞く。
 
「これから相談するわ。」
 


「僕の両親も、改めてご挨拶に伺います。」
 

「やだ、こんな汚い所に。」

母の発言は、やっぱり的外れで。
 
「お掃除しておいてね、ママ。」


私達は、日が暮れる前に 家をでた。

 
< 88 / 270 >

この作品をシェア

pagetop