屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜




ミズタニは
そのあずるの言葉に
声をあげて笑う




「 アハハハっ!"ユカちゃん"!

遠矢の名前出して声かけたら
遥かニューヨークまで知らない男に
ひょいひょいついて来ちゃったコか!」


「 心配だったからだよ!!

好きな人が心配で…
独りでどうしようもなかったから
優しい人に頼ったんだよ…!! 」




「 ――… ルウ

なんか…
お前の口からそんな擁護を
聞くとは思ってなかったよ…

そんなに青山のアレは良かった? 」


「 …好きな人とえっちして何が悪いの 」




"ミズタニ"は ニコリと笑って
何の躊躇も無く 梅川さんの 足を撃った




「 ――― 先生…!!」



「 …皆……逃げて… 」


食いしばった口の端から一筋の
赤い糸が流れる


瞬間、ミズタニは
梅川さんの顔を拳で殴り
髪を掴んで 口を大きく開かせた



「 うっかりしてたな…

こんな気概
あんたにもあるんだねえ
驚いたよ


――― 違うか

自分で自分の口を塞ぎたいとか…? 」




梅川さんは
笑うミズタニのその言葉に
何故かきつく目をつむり
歪む視線を、思いきり逸らした




「 ルウ!!
そこにある包帯とガーゼ持って来い
そしてセンセイの口を縛れ


こら動くなー 青山
動けばルウを撃ち
その後すぐに、俺も死ぬ


本気なのは

――― お前なら、わかるよな…? 」






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