世界No.1の総長と一輪の花 エイプリルフール特別編
っていうかなんでピンクだけはだめなの…?
ふと疑問に思ったこと。
その言い方だとピンク以外はいい、ってことになるよね…?
「き、金髪に染める……」
私はそう小さく呟くように言った。
すると、詩優は……
触れていた首筋に顔を近づけて、
ちゅっ
と優しいキスをひとつ。
「ひゃっ…!!」
びっくりして思わず声が漏れてしまう。
恥ずかしくて逃げようとしたら、もう一度首筋に触れるだけの優しいキスがおとされた。
逃げられないでいたら、詩優はゆっくり顔を上げて。
口角を上げた彼と目が合う。
何か言われるのかと思ったら、今度は整った顔を近づけてきて……
き、キス!?
唇にキスされるのかと思い、目をぎゅっと閉じたらまさかの、
デコピン。
力がこもっていなかったから全然痛くなかったけど……な、なんで!?
ぱちっと目を開けると
「嘘。好きな色に染めておいで」
詩優は優しく笑って、私から離れるとすぐに背中を向けて階段をのぼっていく。
1人になってしまった私はただ詩優の後ろ姿を見送って…
はっと我に返ってからは、急いでエレベーターに乗った。
エレベーターの中で首筋にキスマークがついていないか確認したが、幸いついていなかったから安心。
でも、詩優のせいで顔が熱くて、赤くて……
そのあとすぐに会った明日葉には気づかれなかったけど、京子は何かを察したかのようににやにやしていた。