涙の数だけ
あたしはそれを理由にして廊下を爆走。
この宿泊施設が貸切でよかった。
おかげで思い切り走ることができた。
南の階段のところでうずくまる。
やっぱり涙は止まらなくて。
あたしが泣いたら、頼りなくなる。
それに涙なんて格好悪い。
だから泣きたくなんてなかったのに。
あぁ…あたしはまだ、弱い。
誰よりもずっと、弱い。
そんなことを考えていると声が聞こえて。
あたしは階段を駆け上がる。
そうすると突然、自分の部屋のドアが開いてみんなが出てきた。
タイミング…最悪過ぎ。
気づかれないよう、下を向く。
そしていつもより早く走る。
よかった、スリッパはいてなくて。
今度は1階の女子トイレに入る。
ここなら誰も来ないだろう。
呼吸を整えまた、うずくまる。
なるべく声を上げないようにした。
自然と苦しくなる息。
きっと『過呼吸』という言葉を知らなければ
あたしは過呼吸になっていた。
でも、無駄な知識のおかげで過呼吸にはならずに済む。
とにかく落ち着いて深呼吸をした。
いつもと同じように呼吸ができるようになった。
と、そこへ
「………ゆず?!」
マリがやってきた。
あぁあたしは落ち着いて泣くこともできないのか…
なんて思いながらもマリには悪いがあたしは無言でトイレを飛び出した。
でも、廊下には逢いたくない人の姿
「…………先生」
―Sideゆず 終―