『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜

「立花さん、ゲホ…ゲホ…
ホントに時間、大丈夫?」



「でも、先生…」



「オレももうすぐ終わるから…
ゲホ…ゲホ…」



「先生、心配…」



「ゲホ…ゲホ…
大丈夫、だから…」



「…先生、…一緒に、いたい…」



「うつしたら、小林に怒られる…」




なんで…

なんで先生、そんなこと言うの?




「…帰ります…」



このまま一緒にいたら

私はきっと

泣いてしまう…



「先生、さようなら…」



「さようなら…気を付けて…
ゲホゲホ…」



机の上に

のど飴をひとつ置いて

私は美術室を出た






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