『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜

夕方になって
先生のアパートに行った



ピンポーン…



ガチャ…



ドアが開いて
一瞬先生が驚いた顔をした



「誰かと思った…」



変かな…?

私は少し恥ずかしくなった



「変、ですか?」



「いや…制服じゃないから…」



花火なのに

制服じゃないよ



「おじゃまします」



「適当に食べ物と飲み物買ってきたけど
何か欲しいのあった?」



「特に…」



「飲み物、コレでいい?」



「あ、私がいつも飲んでるヤツ」



「いつも学校でコレ飲んでるな‥って思って
コレで、よかった?」



先生、見ててくれたんだ

こんなことでも嬉しくなる



「はい
コレ、おいしんですよ!
友香も好きで、学校の自販のコレは
たぶん私達が買い占めてます」



「へー、女子高生に人気なの?」



「佐々野さんは苦手って言ってました」



「言いそう…」

先生は笑った




「喉乾いたから、飲んでいいですか?」



「うん、あーどぉぞ…
外、暑かったよな
迎えに行けばよかった」



「いただきます…

ピーチみたいな、ベリーみたいな
なんだろう‥花みたいな香りがする水です」



「ちょっと、ちょうだい」



先生が私のペットボトルに口を付けた


ゴクン…


先生の喉が動いた


こんなことでもドキドキしてしまう




「んー、なるほど…

冷蔵庫にいっぱいあるから
いつでも飲んで…」




冷蔵庫を開けると

ビールとお茶とミネラルウォーター



先生、いつも何食べてるんだろう…



それから

私の飲み物がたくさん入ってた



「こんなにいっぱい?」



「うん、だって、また来るでしょ…」



「うん、また来ます」




私と先生の飲み物が入ってる冷蔵庫

こんなことでも幸せな気持ちになる



私はそっとドアを閉めた




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