『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜
「空の絵も、桜の絵も
2年続けて入選してたね…」
「見ててくれたの?」
「…うん
桜の絵、驚いたけど…」
含み笑いしながら先生が言った
「あの時の絵の上から重ねたの?」
先生はやっぱり気付いてくれた
「はい…」
あの時の私の気持ち
先生に気付いてほしかった
だけど
塗りつぶしても
私の中の先生は消えなかった
「…先生、スケッチブック、ありがとう…
描いてくれて、ありがとう…」
先生は照れ笑いした
私も裸体の絵を思い出して恥ずかしくなった
「ずっと大切に持ってる…
あのスケッチブック
…
…桜の絵の中に私がいた…
嬉しかった…
…
先生、ずっと見ててくれたんですね…
ありがとう…」
先生はタバコをくわえた