縁の下の恋
渡辺は、一字一句のがさぬように、母親の深雪の話しに耳を傾けた。
今のところ頭の状態は、安定してきてはいるものの、もう暫くは様子を診ながらでないと退院は出来そうにないし、右の肘を複雑骨折をしているために、仕事を普通にできるようになるまでには、二か月は掛かるとの医師の診断を伝えられたと話してくれた。
あんなに仕事が大好きないちりを思ったら、渡辺は、言葉にならなかった。
どうして…あいつが、こんな酷い目に…
思えば思う程悔しくて仕方が無かった。
いちりの両親にも、またいちり本人にも、真相を話す訳にはいかないと渡辺は思った。