王子様に恋をした
第2章

第1幕 淑女教育

「……… ま! …………さま!」

「……………………」

「お……さま!」

「…………ん」

「お嬢様!」

「う…ん…」

「お嬢様!アイリーンお嬢様!!」

「う…う、ん」


「いつまで寝ておいでなのですか?そろそろお起きになって下さい!!」

その声の主は、何処かに向かって歩いていったようでしたが

シャーーーッ!シャーーーッ!の音と共に、眩しい光が瞼で閉じられた目にも届けられました。

「いい加減起きて下さいませっ!!」

声の主は、私の布団を引っ剥がしました。

外気に晒された体が一気に冷えていくのが分かります。

「寒いじゃない!」

私は薄い寝巻きに包まれた体を抱きしめ、寒さに震えていました。

専属侍女のローラが暖炉に薪をくべて部屋を暖めてくれました。

徐々に空気が暖まって行く中、私は、ローラやスカーレットの2人に髪をとかして貰いながら、暖かいワンピースに着替えました。

ドアをノックする音に

「はい」

と返事をすると、執事長のカイセルが部屋に入って来ました。

「おはようございます、アイリーンお嬢様。朝食の準備が整ってございます。食堂へお越しください。」

完璧な笑顔と礼で朝食の時間を告げに来たカイセルは、ドアを閉め出ていきました。
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