戀のウタ
「生まれた時から、って…だってアタシ達ずっと一緒だったじゃない、恭介中学の時にぐんぐん身長も伸びて中2で声変わりして…アンドロイドって機械でしょ?成長なんて…」


 必死で恭介が人間である証拠を探す。
 だけど今さっき見た怪我の治り方、恭介と千鶴さんの説明のせいで上手く考えが纏まらない。

 ぐるぐると頭と心の中を回る疑問と訳の分からない感情にアタシは力が抜けてそのまま椅子に座ってしまった。

 アタシの狼狽ぶりと恭介の消沈ぶりを見かねた千鶴さんが静かに続ける。


「恭介君の生体コアのカイロスエネルギーはタキオンに似た時粒子で私達は『カイロス時粒子』と呼んでいるわ。カイロス時粒子は時間に働きかける力があって彼は『成長するアンドロイド』なのよ」


 簡潔な説明だと思う。

 アタシの混乱した頭でも理解できる説明だった。
 だけど『理解』と『納得』は別だ。


「だけど!それじゃあ恭介は―――」

「いいんんだミチル」

「よくない!」

「だけど俺はちょっとは感謝してるんだ、この体に」


 恭介の「感謝」という言葉にアタシの言葉が止まる。

 アタシが静かになったのを確認して恭介は静かに続けた。
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