授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
なぜだかわからないけれど、たった数秒目の前を通り過ぎただけなのに彼の顔が刻印されたように脳裏に焼きついた。

「やだ、もしかして菜穂、黒川先生のこと気になっちゃった?」

「黒川先生?」

ニマニマと口元を歪めながら聖子がじーっと私の顔を覗き込む。

「あの人、この店の常連さんだからすぐにまた会えるよ。詳しいことはそのときまでのお楽しみってことで」

お楽しみって、なにも聞いてないのに……。

黒川先生、か。

まだ何も知らない。話したこともない人だけど、その“黒川先生”の存在が私の心の中に消えない足跡を残していった――。
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