授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
私を見下ろしているのは出張に行っているはずの黒川さんだった。今まで見たこともないような必死な顔をして私を抱き起す。

どうして、黒川さんがここにいるの?

そう尋ねたつもりだったけど、力なく口が動くだけで言葉にならない。

「すごい熱だな、もう大丈夫だ。とりあえずベッドに横になれるか?」

額に手をあてがわれると、黒川さんの優しい温もりを感じた。

ああ、これは夢でも幻でもない……彼の体温だ。ようやくこれで安心できる。

「車ですぐに病院へ行くぞ」

「黒川さん……」

彼の名前を呟くと、安堵の波に飲まれるように私は目を閉じた――。
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