授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
ランチにパンを買うお客さんの波は十三時頃には一旦収まる。その間にレジのお金を計算して、午前中の売り上げをチェックするのだ。

「私、前の会社で経理部だったんですよ、計算なら得意です。レジ金の確認も昔バイトでよくやってたので」

そう言いながら、コインカウンターに小銭を素早く入れ、お札を慣れた手つきで数えていると「おー」という感嘆の声とともに聖子の家族が覗き込んできた。

「菜穂ちゃんが来てくれてほんっと助かっちゃうわ、聖子なんかすぐに計算間違えるからいつもお金が合わないだのなんだのって……」

「もう! お母さん、こんなところで私のおバカ脳暴露しないでよぅ」

文句を言いながらなんだかんだ言って仲のいい親子だ。そんな聖子がほんの少し羨ましい。

お母さんがいるって、こんな感じなのかな……って、だめだめ、お金数えてるときに余計なこと考えない!

午前中の売り上げを確認すると、聖子のお父さんでオーナーの清隆さんに報告する。清隆さんは無口だけど、職人肌で何事にも一生懸命なちょっぴり頑固な昔ながらのお父さんという感じの人だ。

「菜穂、少し休憩する? 朝に売れ残った焼きそばパン食べていいからね」

「うん、ありがとう。でも大丈夫よ」

多少無理をしても早く仕事に慣れるためだもの、頑張らないと……。
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