授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
これで黒川さんに電話をかけて連絡をすることができる。電源の入っていないスマホをぐっと握って、五分間で話したいことを頭の中で急いでまとめる。

万が一電源を入れても充電が切れていたら? 黒川さんが電話に出られなかったらどうしよう……でも、そんなこと考えてる場合じゃないよね。

とにかく電話してみよう!

「部屋の外でお待ちしています。もし、窓の外から旦那様のお車が見えたら、途中でもすぐにスマホをお返しください」

「わかった」

力強く頷くと、香帆さんは部屋から出て行こうとする。

「香帆さん」

「はい」

「ありがとう」

ようやく見せた私の笑顔に、香帆さんは安堵の笑みを返して部屋のドアを閉めた。それと同時にスマホの電源を入れる。

お願い、お願い、お願い!!

すると、ずっとオフのままだったのが幸いだったのか、パッと画面が明るくなってスマホが起動した。

やった!

今にも震えだしそうな指で黒川さんの番号を呼び出す。ドキドキと心臓が波打って、何度も何度も乾いた息を飲み込んだ。そして、数回呼び出し音が鳴ったところで――。
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