授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
そして、ついに婚約パーティーの日がやってきた。

パーティーが行われる大型客船は日の出桟橋を出航して、レインボーブリッジや羽田空港などを巡り、乗船時間は約二時間となっている。客船は貸し切りで会場デッキは広く、百人は収容できそうだ。その間に両家の親族や招待客の前で立食形式にて食事を交えながら婚約を発表することになっていた。

パーティー開始は十九時。

私は父に連れられてすでに会場に到着していた。

はぁ、これからどうなっちゃうんだろ……。

黒く揺らめく水面に、ふわふわと浮かんで見えるようなビルの夜景を、私は窓からぼんやり眺めていた。

左の薬指にはまだ黒川さんからもらった婚約指輪をしたままだ。けれど、このパーティーが終わったら別の婚約指輪をすることになる。

「あぁ、菜穂ちゃん! 今夜は一段と美人さんだね、さすが私の娘。お姫様みたいだよ」

父から渡されたドレスを身に纏い、化粧を施し、そして巻き髪をアップにした私の姿を見て父は満足げに笑っていた。「自慢の娘でね」と招待客に紹介して回り、ぎこちない私の作り笑顔にも気づかず、楽しげにしている父を見ていたら後ろめたくて胸が痛かった。
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