授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「離してください! 父のことをそんなふうに思ってたなんて!」

「シーッ、あまり大きな声を出さないでください。言ったでしょう? 俺は欲張りな男だって、だから欲しいものは必ず手に入れたい。そうすれば父も喜びます」

「お父様のご機嫌のために何をしたっていいと言うの?」

板垣さんの腕を振り払って、この場から逃げようと踵を返すけれど再び腕を掴まれてしまう。
もう逃げ場はない。ジリジリと迫り来る緊張と焦燥に嫌な汗が滲んでくる。

「お願いだから逃げないで」

眉をハの字にして困った表情でなんとか私を手懐けようとするけれど、彼の本性を知った今、一緒にいてはいけないと本能が警鐘を鳴らし続けている。もう一度掴まれた腕を振り払おうと何度も身を捩ってみたものの、男の人の力には敵わない。

「じっとして、あまり手荒な真似はしたくないんだ」

後頭部を押さえ込まれ、息つく間もなく唇を押し付けられそうになる。

嫌っ!

思考が途切れ、声にならない叫びをあげたその瞬間。板垣さんの顔にバフッと何かが押しつけられた。

「はいストップ。そこまでだ」

「な、なんだ!?」
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