授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「あなたは弁護士だろう? これは犯罪だぞ」

苦し紛れの抵抗に黒川さんが不敵な笑みを浮かべ鼻を鳴らす。

「俺は法律のプロだ。犯罪になるかならないかくらいの線引きは重々理解しているつもりだ。無断で他人の敷地に入ったり、家に侵入して盗聴器を仕掛ければ確かに犯罪行為だ。けど、第三者が当事者の同意を得ずに会話を聞く盗聴行為自体は犯罪じゃない。君は刑事のくせにそのくらいもわからないのか?」

「な、なんだと……そんなの民法上じゃプライバシーの侵害だ!」

板垣さんが声を張り上げると黒川さんが、はぁぁ、と盛大にため息をつく。

「プライバシーの侵害ねぇ……けど、この会話の内容じゃ、逆に名誉棄損で松下検事から損害賠償請求されてもおかしくない。それでもいいのか? バッチリ社会的評価を侮辱するような発言をしただろ? 松下検事の娘である彼女の前で。それに今このデッキにいる招待客にだって聞こえていたかもしれない。公然性もあるし立派に名誉棄損罪は成立する。音声の証拠もあるしな。チェックメイト、だろ?」

「黒川君、もういい。十分だ」

すっかり人気のなくなったデッキに、黒川さんと板垣さんの会話に割って入ってきたのは……父だった。
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