授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「実はあのパン屋に空き巣が入る前、不審な男がいると住人からの通報を何件か受けていました。けど、他の場所にパトロールを回してしまった結果……俺の管轄だったにも関わらず、結局菜穂さんにも怖い思いをさせてしまいました。それを報告しなかったのではなく……できなかったんです」
握り締めていた手で顔を覆うと、板垣さんはもう一度ため息をついた。
「だって、菜穂さんと婚約する話が持ち上がって父も喜んでいたのに、俺が犯したミスで婚約が破談になったら……それに報告したところでそこの弁護士の株が上がるだけだし」
やっぱり! なんて自分勝手な人なの。
板垣さんが空き巣事件のことを父に言わなかった本当の理由は、私が思っていた通りだった。
「なるほど、君が父親思いなのはよくわかった。君にとって一番大切なのは私の娘ではなく、あくまでも父親なのだろう? 親孝行でいい息子さんじゃないか、なぁ、警視総監殿」
にこやかな笑顔の中に混じった毒針のような皮肉を受けて、板垣親子がそれぞれ気まずそうな表情を浮かべている。
「申し訳ないが、菜穂は私にとって命よりも大事な存在なんだ。自分の都合を優先するような勝手な男に娘は任せられん。婚約の話しはなかったことにしてくれ」
「そ、そんな! どうか考え直していただきたい。聡も――」
握り締めていた手で顔を覆うと、板垣さんはもう一度ため息をついた。
「だって、菜穂さんと婚約する話が持ち上がって父も喜んでいたのに、俺が犯したミスで婚約が破談になったら……それに報告したところでそこの弁護士の株が上がるだけだし」
やっぱり! なんて自分勝手な人なの。
板垣さんが空き巣事件のことを父に言わなかった本当の理由は、私が思っていた通りだった。
「なるほど、君が父親思いなのはよくわかった。君にとって一番大切なのは私の娘ではなく、あくまでも父親なのだろう? 親孝行でいい息子さんじゃないか、なぁ、警視総監殿」
にこやかな笑顔の中に混じった毒針のような皮肉を受けて、板垣親子がそれぞれ気まずそうな表情を浮かべている。
「申し訳ないが、菜穂は私にとって命よりも大事な存在なんだ。自分の都合を優先するような勝手な男に娘は任せられん。婚約の話しはなかったことにしてくれ」
「そ、そんな! どうか考え直していただきたい。聡も――」