授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「まぁ、それもあるな。私にとって家族は一番だ。私の父もまさか弁護士が自分を騙すなんて思いもよらなかったんだろうな。私の弁護士嫌いはこれからも変わらない。なんせ私は頑固者だからな。しかし……」

父が黒川さんに視線をゆっくりと移すと、黒川さんは少し緊張した面持ちで目を合わせた。

「黒川君のように、曲がったことが嫌いで正義感で満ち溢れているまっとうな弁護士の存在も忘れてはならないと、今回のことで彼に教えてもらったよ。菜穂に自分の弁護士嫌いを押しつけているだけだと言われて、確かにそうだと……認めるのに時間がかかってしまった。すまない」

弱り顔で笑うと、父はジャケットの内ポケットから何かの用紙を取り出した。そしてペンでサッと記入すると、私へそれを差し出した。

手渡された用紙を広げて見ると。

「これ、婚姻届?」

すでに証人欄には黒川さんの父親の名前が直筆でサインされている。そしてもうひとりの証人に、たった今記入された父のサインが記されていた。

「俺がさっき松下検事に渡して頼んだんだ。板垣刑事の本心を聞いて真実を知って、もし菜穂と結婚を認めてくれるなら、証人に名前を書いて直接君に渡して欲しいって」

私と板垣さんがデッキで押し問答している間に、黒川さんは黒川さんで父とそんなやりとりをしていたなんて知らなかった。
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