授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「松下検事と呼ぶには堅苦しい。なんせこれからは家族になるのだからな。だから、その、お、お義父さん……と呼んでくれても構わないぞ?」

ふふ、お父さんってば、素直じゃないんだから。

照れくさそうにポリポリと人差し指で頬を掻く父に思わず笑みがこぼれる。

「はい。その様に呼ばせていただきます。お義父さん。式を挙げる前に今度是非、私の父にも会ってくれませんか?」

「ああ、わかった。そのときは予定を空けておこう。私はもう船内に戻るが……」

父がチラッと手元の時計に目をやって時間を確認する。

「あと五分程で船が出る。君たち二人は好きにするといい」

「お父さん、でも今夜招待したお客さんたちに婚約発表する予定だったんでしょ? その、板垣さんと……」

婚約発表の前に破談になってしまったなんて言ったら……。

「気にすることはない。実は、今夜のパーティーは親睦会という名目で、婚約発表はサプライズの予定だったからな。だから全員何も知らないし、破談になったところで問題ない」

な、なんだ……そうだったの? 私てっきり……。

ぽかんとする私にあっはっは、と声をあげて笑うと父は船内に入って行った。
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