授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
刺激されたお腹の虫が再びぎゅるる~と暴れだす。

や、やだ! 黒川さんの前で恥ずかしい!

唾液が口内に広がりゴクッと喉を鳴らすと、黒川さんが目を細めた。

「あんパンが好きなのか?」

「へっ!?」

「ベーカリーカマチのあんパンが大好きだって、顔に書いてあるぞ。腹、減ってるんだろ?」

じわじわと赤くなる頬に気づかれたくなくて、咄嗟に俯いた。

もしかしてお腹が鳴ってたのバレてた?

「い、いいえ! 事務所の方にって弥生さんから言付かってきましたので、そんな厚かましいことは……あ、あんパンは好きですけどひとつしかないですし……黒川さんが食べてください」

「じゃあ、半分こすればいいだろ? こっち来て」

パーテーションで隔てられた普段は依頼者との相談室に使うスペースに戸惑いながら通される。そこには向かい合わせにゆったり座れる革張りのソファと、その間にガラスの天板がついたローテーブルが置いてあった。

「俺もちょうど仕事が今終わってゆっくりしようと思ってたところだったんだ。狭いけど遠慮しないでくれ」

ソファに座ってしばらくすると、野木さんがわざわざお茶を淹れて持ってきてくれた。

「すみません、お構いなく……」

なんだかおつかいで来ただけなのに逆におもてなしされて恐縮だ。

「さっきはすまなかった。とにかく君に怪我がなくてよかったよ」

「あの、先ほどの女性は……」
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