授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
『……ふぅん、それでそれで? 黒川先生とのあま~い夜はどうだったの?』

自宅へ戻り、シャワーを浴びて髪の毛を乾かしきったところで聖子から電話がかかってきた。店が臨時休業のせいかいつもより静かな感じがする。昨日の空き巣騒ぎが嘘のようだ。

昨日の今日で『大丈夫?』『もう怖くない?』『お店は無理しなくていいからね』と思わずウルッときてしまうほど心配してくれたというのに、黒川さんと正式に付き合うことになったと報告した途端、話しの話題はすぐにシフトした。

「まだ聖子が想像してるようなことは……してない、よ」

『あ~じれったい! 女のほうからガンガン行くのもアリよ! っていうかさぁ、菜穂、やっぱりお父さんにちゃんと黒川先生のこと話したほうが今後のためにもよくない?』

「だ、だめっ! 聖子だってお父さんが弁護士嫌いなの知ってるでしょ? 黒川さんに……迷惑かけたくないし、お父さんのせいで嫌な思いだってさせたくないよ」
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