虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
「メラニー、どうしたの?」

「い、いえ。お茶でもお持ちしようかと……」

メラニーは落ち着きなく視線を彷徨わせている。

この態度……やっぱり話を聞かれたのかも。

国王の隠し子の件なんて話していたから驚いちゃったのかな?

どうしようと悩んでいると、フランツ夫人がとても落ち着いた声音で言った。

「丁度、王妃様がお茶をご所望でしたの。お願い出来ますか」

「か、畏まりました」

メラニーはぎぎっと音がしそうな不自然な動きで部屋を出て行く。

扉が閉まると私はフランツ夫人に問いかけた。

「メラニーの様子、おかしかったですよね?」

「はい。王妃様のおっしゃる通り、メラニーさんは明らかに動揺していました。恐らく私達の会話を聞いていたのでしょう」

私は眉をひそめた。フランツ夫人の言い方ではメラニーが盗み聞きしていたように感じるから。

「間違いないと思います。彼女は衣装部屋に居たはずなのに、いつの間にかこの部屋に来ていた。音も立てずに衣装部屋を出たのは私達の様子を窺う為です」

「メラニーはそんな人じゃないと思うけど。気さくで優しくて良い子だもの」

「良い方なのは分かります。ですが彼女は貴族です。王妃様以外に仕える者がいてもおかしくありません」
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