虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
ランセルが決めた期限まで半月を切ったある日。
ロウが朝早く私を訪ねて王宮へ来た。
知らせを受けた私は、フランツ夫人の到着を待たずに大急ぎで応接間に駆けつける。
「ロウ、来てくれたのね!」
犯人探しで彼を頼っているのもあるけど、それだけでなく数少ない信用出来る相手で、素を出せる彼に会いたかった。
「ああ。早くに悪いな。元気そうで良かった」
ロウは柔らかく微笑む。相変わらずキラキラとした御曹司オーラのような者を感じるけれど、良く見ると目の下にうっすらクマがある。
「大丈夫? 疲れているみたいだけど」
犯人探しで負担をかけてしまってるのかな?
インベルの件だってあるのに。
「大丈夫だ。それよりも少し進展が有ったから直ぐに知らせたくて報告に来た」
やっぱり、精力的に動いてくれていたんだ。
「ありがとう、本当に助かる。私もそれなりに調べたんだけど、結局行き止まりにぶつかっちゃって」
「リセは何を調べたんだ?」
「実はね……」
国王の隠し子についてなど、思いついたことと、ランセルに聞いた内容を簡潔に話す。
ロウは真面目な顔で聞いていたけれど、思いがけない発言をした。
「その件については俺も調べた。結果はランセル王太子と同じだった」
「え? ロウも調べてたの?」
「ああ。まず初めにそこから確認した」
「そ、そうなんだ」
そして直ぐに結果を得て、次の手がかりを探し新情報を掴んだってこと?
有能すぎない?