虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
「なんとか。ロウは怪我してないよね?」

見た感じは、何のダメージも受けてないけど。

「ああ」

ロウはへたり込んだ私を引っ張り起こしてくれた。

「ありがとう、助かった。でもどうしてロウがここに?」

「今日人を集めると聞いていたからな、心配になって来てみたが、間に合って良かった」

「本当にロウが来てくれなかったら危なかった。襲って来たのは誰なの?」

完全に伸びた男たちは、黒く粗末な服を着ている。

「宰相かベルヴァルト公爵夫人の手の者の可能性が高い」

エルマの? やっぱり宰相と関係があったの?

それにしても、ロウは前回話した時よりも、宰相への疑いを深めているようだ。

何か新たな情報が有ったの?

「ねえ、ロウ……」

「マリア!」

大声が私の声を遮った。この声は……。
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