虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
きっと私に頭を下げるのは耐えられないのだろうけど、明らかに非常識だ。

「お話とは何でしょうか?」

「先ほどから何かとバルテル辺境伯家の名を出していましたが、今後控えなさい。あなたはバルテル家ではなくベルヴァルト公爵の人間なのですから」

「バルテル家も私にとっては身内です。話をして何が悪いのか理解出来ません」

エルマは不快そうに眉を寄せる。

「あなたの態度はベルヴァルト公爵家を蔑ろにしています。なぜ当家の話をしないのです?」

心底疑問だとでも言うように問われ、呆れ果てた。素早く周囲を確認する。幸いにも私達以外は声が届く範囲にいない。

「なぜ話さないかと言われましても……特に話題がありませんから」

良い機会だからここではっきりしておこう。

「話題がない? そんな訳ないでしょう?」

「私がベルヴァルト公爵家について語ることなどありません。エルマ様やユリアーネと会話した覚え殆ども有りませんし、住まいも別だったのですから。それとも私の住んでいた離れの話でもすればよろしいですか?」

もちろん嫌味だ。エルマは直ぐに気付いたようで頬を赤くした。

「あなた私を馬鹿にしているの?その様な態度が許されるとでも思っているの?」

「馬鹿になどしていません。あくまで真実です」

「あの人に報告しますよ?」

「報告? なんとですか?」

予想はついているけどあえて聞いてみる。
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