虐げられた悪役王妃は、シナリオ通りを望まない
「アリーセは王妃になって調子にのっていると。誰のおかげで王妃になれたのかすっかり忘れ、私に対する態度もなっていないと伝えます」

私は苦笑い混じりに答える。

「どうぞ言いつけて下さい。けれどお忘れのようですが私は王妃なんですよ。お父様に何が言えるのでしょう?」

公爵様にだって口出しはさせない。そう伝えたつもりだ。

エルマは私の意図を正確に受け取ったようで、怒りに肩を震わす。

「ここまで調子に乗るとは思わなかったわ」

エルマの表情は鬼気迫るものがあった。まるで普段は隠している本性が現われたような。

内心怯みそうになりながらも、なんとか表に出さずに余裕のふりをして笑顔を浮かべた。

「ベルヴァルト公爵家夫人、それにユリアーネ。今後は私に対する口の利き方を改めて下さいね。そうでなければベルヴァルト公爵家の人間は非常識だと言われるでしょう」

「なっ! お姉様がどうしてそんな口を?」

いつもアリーセを下に見て余裕の態度のユリアーネが、本気の怒りを見せた。自尊心を傷つけてしまったのだろう。

でも、ここではっきりしておかないと、いつまでも馬鹿にされたまま。私の立場は向上することがなく身の破滅に繋がる。

「少し落ち着いた方がいいのではない? 誰かに見られたら恥をかくのはあなたよ」

追い打ちをかけるとユリアーネはますます怒りながら、それでも人目が気になるのか口を閉ざした。

すると沈黙が訪れる。
< 78 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop