続・隣人はクールな同期でした。

アタシと風見くんが会話をする事すら
許せないというのか…。


この場を鎮静させるかのように降り出した雨が
地面を濡らし始めていく。


「セツナ。俺がマンションまで送るから
 広報課長に言って、すぐに早退しろ」

「え、でも…」

「わかったな」


有無を言わせず
ほぼ強制的に(彼氏からの)早退命令が下ってしまった。


急すぎて許可が下りるのかわかんないけど
大人しく言う事を聞き
課長には『体調不良のため』と申し出ると
案外、すんなりと了承され
結果としてジンと帰る事に―――


「早退までしなくても大丈夫だったのに…」


マンションに到着すると
『少し休んでいろ』とリビングのソファに座らされた。


「昨日から調子悪いのわかってんのに
 放っておけるか。
 …ほら、水とタオル。」

「あ、うん…ありがとう」


薬を飲むための水まで用意されて
さっきまで殺伐としていたジンとは違う
いつもの優しさを感じる。

それでも
さっきの出来事の一部始終を見られていたんだから
やっぱり気まずくて目を合わせられず俯いてしまう。

< 89 / 151 >

この作品をシェア

pagetop