ノクターンⅡ
「ねえ、ねえ、いくら貯めたの?」
お兄様は、まだ気になるようで、
「紀之さん、失礼よ。」
とお姉様に叱られる。
「それは言えないね。でも 会社が困った時は 麻有ちゃんに相談すると 融資してくれるかもよ。」
智くんは、いたずらっぽく笑いながら言う。
お兄様は食い下がり
「そういうレベル?投資とか、やっているの?」
「まさか。普通に 使い切れなくて 余っていくんです。」私は 答える。
「えー。使う気になれば、いくらでも使えるわよ。」
お母様は驚き お姉様も頷く。
「私、ケチなのかな。」私は 首を傾げる。
みんなは、ゲラゲラ笑う。
「大丈夫。ケチじゃないから。智之さんも絵里ちゃん達も いつも高級な服を着ているじゃない。麻有ちゃんだって 綺麗にしているもの。無駄使いしないだけじゃない?私も見習わないと。」
お姉様は、言ってくれる。
「昔から、麻有ちゃんには 驚かされるよね。ほら、結婚式の時の手紙とか。」
お兄様は古い話しをする。
「恥ずかしいから。止めて下さい。」
私は、赤くなってしまう。
披露宴に私が書いた手紙。
智くんが読んでくれた お父様とお母様への手紙。
あの手紙にみんなが とても感動したと言って 喜んでくれた。