きっとこれは眠れない恋の証明。
退院したばかりなので、まずは体に負担の少ないものをといういう事で、トマトのリゾットとコーンスープ、デザートには昨日作りおいておいた抹茶のティラミスを用意した。
「すごいな、まさか桜が…」
食事をテーブルに並べると、京が信じられないというふうに目を丸くし、何度も食卓と私を見比べては目を見張った。
…驚いてくれたのは嬉しいし、してやったりなんだけど…なんだかそれは驚きすぎな気がする。
「桜は食べないのか?」
「え?あ…」
言われて、1人前の食事しか用意していなかった事に気がつく。…焦ってうっかりしていた。せっかく作ったんだから、自分の分も作って京と一緒に食べたかったのに。
「忘れてたって顔だな」
そう言って京がクスクスと意地悪な顔をして笑う。
「桜らしいよ。運転が出来る様になっても飯が作れても、桜は桜だな。なんか安心した」