二度目の結婚は、溺愛から始まる
この人のいろんな表情を見たい。
もっと、きっと好きになる。
そう思った。
わたしを見つめる瞳の奥に、わたしと同じものが生まれることを願い、その名を呼ぶ。
「――蓮」
彼の顏から、笑みが消えた。
「あの……どうかしましたか?」
蓮は、軽く頭を振って、呟く。
「ああ……たぶん、どうかしてる……」
その唇には、僅かに笑みが浮かんでいた。
「それで……好きな画家はいますか?」
改めて、訊ねる。
とにかく、主導権を握っておくことが肝心だ。
「好きな画家はいないが、好きなデザイナーはいる」
「誰ですか?」
「俺が好きなデザイナーは……」
満面の笑みで蓮が告げた名は――
「雨宮 椿だ」
その瞬間、わたしは「恋」に落ちた。