twilight sinfonia
ポツポツとピアノを当てていく。
細い音の楽器ばっかり入れたらそれっぽくなるのかな?
ギター入ってるバラードは私もあんまり作らないからわかんないや。


ほんとに音の細いバラード作るんだったらギターも外してピアノだけでもいいんだけど……。


……。



「……ん、とりあえず仮できた」



時間をかけて悩んだ末、結局ギターパートも消して、ピアノのメロディを何種類か重ねることにした。
もともと振られたパートは2人より多く同時に歌うところはなかったし、分厚いコーラス作るよりいいかなと思って。


出来上がったデータは入念に保存した。


「瀬那、できたよ?」


返事が返ってこない。
私を抱きしめたまま、肩に顔を埋めて眠ってしまったらしい。
最近寝不足続きだっただろうし、無理もない。


「瀬那?お布団入ろう?」
「……ん、ん……ぁ、ごめ……」


目を覚ました瀬那はふわぁっとあくびをして、私を肩越しに見つめてくる。
とろっとした瞳。ボーッとして、頭を働かせる気はないみたい。
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