熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
 


「ちょう助に締め出されたか。こうなってしまったら、ただの人であるお前の力では中に入ることは不可能だ」


 つくもの厨房を任されているちょう助は、つまるところつくもの厨房のすべてを牛耳る力を持っている。

 そのちょう助に拒絶されてしまえば、決して中へと入ることは叶わないということだ。

 少なくともちょう助の心が開かれるまでは声を掛けることすら不可能だと、八雲は花に淡々と説明した。


「そ、そんな……。じゃあ一体、虎之丞さんのことは、どうすればいいんですか?」


 八雲の説明に顔色を青くした花に対して、八雲は小さく鼻を鳴らして一蹴する。


「そんなことは自分で考えろ」

「……はい?」

「ちょう助を怒らせたのはお前の責任だ。俺の知ったことではない」


 そうして八雲は着物の裾を翻し、颯爽と踵を返した。

 八雲は驚く花を尻目に、本当にそのまま立ち去ろうとしてしまう。

 
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