熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「あい、わかった。よいじゃろう。丁度ちょう助も、勉強のために現世で料理を食べてみたいと言っとったしの」
「本当ですか⁉」
「ふむ。そうと決まればとりあえず、先にお前さんを現世に届けてから、ちょう助を連れてくるかの。大丈夫、わしゃたぬきじゃ。口八丁手八丁、万事うまくいくじゃろう」
老人姿でポンっ!とお腹を叩いたぽん太は、まず花を現世へと届けてくれた。
「わ、わぁ⁉ って、ここ、どこ……?」
真っ暗な穴の中に飛び込めば、ふわりと身体が宙に浮いた感覚がして、次の瞬間には光の中に吸い込まれた。
光の先で花が見たのは、青い空を染めるように咲く、紅白の梅の花の群生だった。
香り立つ甘い香りと、澄んだ空気が花の鼻先を優しくくすぐる。