熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
 

「梅園内には、樹齢百年を超える梅もあるんじゃよ」

「樹齢百年っ! すごいですね!」


 なんと歴史のある梅だろう。

 しかし花が目を丸くしていると、横で聞いていたちょう助が鬱陶しそうに息を吐いた。


「そこ、そんなに驚くとこ? 俺たち付喪神だって、それくらいの年月を経てここにいるんだけど」

「あ……そ、そっか」


 言われてみれば、ちょう助の言うとおりだ。

 付喪神とは百年近く現世で使われてきたものに、魂が宿った存在……というのは、つくもに来た初日に花が説明されたことだった。

 ちょう助の鋭い指摘に花は素直に頷くと、改めて自分の状況を省みた。

 そんな付喪神たちと、ただの人である花が仲良く揃って熱海観光をするなど、実に現実離れした状況だ。

 
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