熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「ふふっ、ちょうど今、八雲さんにお茶を淹れていただいていたところなのですよ」
穏やかな傘姫の声とは裏腹に、八雲の目は確実に、「お前、足はどうした」と言っている。
花はそれに気づかぬふりを決め込むと、すかさず傘姫の前に三つ指をついて畏まった。
「お話中のところ、申し訳ありません。ひとつご提案があって、傘姫様にご相談したく参りました」
「提案?」
唐突な花の言葉に、傘姫が不思議そうに首を傾げる。
キョトンとしながら自分を見る傘姫を真っすぐに見つめ返した花は、逸る気持ちを精一杯押し込めると背筋を伸ばして、なるべく冷静に思いを告げた。
「傘姫様の想い人である和尚様ご本人と、傘姫様を会わせることはできませんが……。和尚様に化けたぽん太さんと、ここで会うのはどうでしょうか⁉」
花の提案に、傘姫が目を見張る。
対して八雲は、「おい」と低い声を出すと、花に厳しい目を向けた。