熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「え──っ」
──ぷにっ。
そして次の瞬間、ぽん太の身体が白く光輝いた。
あまりの眩しさに花が思わず目を瞑ると──光が晴れたと同時に、目の前には見たこともない、法衣をまとった高尚な僧侶が現れた。
「げ、源翁様……?」
その僧侶を見て、傘姫が振り絞るような声を出す。
"源翁"と呼ばれた僧侶は穏やかな笑みを浮かべると、傘姫の問いに応えるように、とても静かに頷いた。
「傘姫、元気そうでなによりだ」
落ち着いた、低音の心地良い声だった。
(え……ぽん太さん、だよね?)
もちろん源翁はぽん太が化けた姿に違いないが、声まで違うとなると発案者である花も自分の目と耳を疑わずにはいられなかった。
「はい……源翁様も、お元気そうで何よりでございます……」
それほど、ぽん太の変化は見事なものだったのだ。
涙を浮かべ、頬をほんのりと赤く染めながら源翁を見る傘姫の眼差しは、これまでにない慈愛に満ち満ちていた。