熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
「あの……薙光さん率いる御一行様へのおもてなしについてなんですが……。デザートバイキングのご提供をするのはどうかな?と思いまして」
「デザートバイキング……?」
花は先程ぽん太たちと話したことを、丁寧に八雲に伝えた。
「なるほど、だいだいを主体としたデザートバイキングか……」
花から一通りの話を聞いた八雲は、落ち着いた空気の縁側で、瞼をおろして考え込む仕草を見せる。
「つくもでやるからこそ目新しさもあって、いいと思うんです」
あとを押すように花が言葉を添えると、八雲はゆっくりと瞼を持ち上げた。
八雲の部屋に繋がっている小さな庭は、つくもの表の庭園ほどではないが、緑豊かで手入れも行き届いており美しい。
けれど花は美しい庭ではなく、八雲の横顔から目を逸らすことができなかった。
月明かりの白い光はより一層、八雲の端正な顔立ちを際立たせていて、神秘的に魅せている。