熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
 

「あの……薙光さん率いる御一行様へのおもてなしについてなんですが……。デザートバイキングのご提供をするのはどうかな?と思いまして」

「デザートバイキング……?」


 花は先程ぽん太たちと話したことを、丁寧に八雲に伝えた。


「なるほど、だいだいを主体としたデザートバイキングか……」


 花から一通りの話を聞いた八雲は、落ち着いた空気の縁側で、瞼をおろして考え込む仕草を見せる。


「つくもでやるからこそ目新しさもあって、いいと思うんです」


 あとを押すように花が言葉を添えると、八雲はゆっくりと瞼を持ち上げた。

 八雲の部屋に繋がっている小さな庭は、つくもの表の庭園ほどではないが、緑豊かで手入れも行き届いており美しい。

 けれど花は美しい庭ではなく、八雲の横顔から目を逸らすことができなかった。

 月明かりの白い光はより一層、八雲の端正な顔立ちを際立たせていて、神秘的に魅せている。

 
< 361 / 405 >

この作品をシェア

pagetop