熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
 


「確かに、目新しさはある。下手に和のもてなしにこだわるよりも、変わり種を試してみるのもいいだろう」

「じゃあ──」

「ああ、お前の案でいってみよう。既にちょう助も承諾しているのであれば、明日の朝イチから早速、色々と詳細を話し合おう」


 そう言うと、八雲は穏やかに目を細めた。

 八雲の返事に、ホッと胸を撫で下ろした花は思わず、自身の胸に手を当てた。


(よかった……。でも……)


 けれど不意に、一抹の不安が花の脳裏を過ぎる。


「……どうした?」


 花の表情の変化に気付いた八雲が声をかけると、花は一瞬戸惑ったように視線を足元へと落としてしまった。

 
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